病院におけるオレンジページ vs レタスクラブ闘争の考察

20代後半になってくると、自然と病院にお世話になる頻度も高くなってくる。「自分は丈夫だ」と考えていたのは、ただの願望・思い込みにすぎなかった。それは自分が “丈夫” だったのではなく、ただ若かっただけなのだ。現実と向き合わなければならない。胃腸炎は1年に1度のペースで罹っている。25歳は、一般的に「お肌の曲がり角」というだけではなく、体に不調をきたしまくっていた私は1年間で1冊のお薬手帳を使い切ってしまった。

 

 

眼科、耳鼻科、内科…… お財布のなかには診察券ばかりが増えていく。

そしてある日、私は気付いてしまったのだ。オレンジページレタスクラブの派閥争いをーーー。

 

 

一生のうちに待合室で費やす時間

良い病院ほど待ち時間は長く、アプリで予約や待ち時間の確認ができるところもあるけれど、ひたすら待合室でじっと待っているしかない病院もまだまだ多い。一体人生のなかで、待合室での時間にどのくらいの時間を費やしているのだろう。一生のうちにもしかするとトータルで半年間くらいは時間を使っているかもしれない。

 

高校時代に片道1時間半をかけて通学していた友人が、ある時3年間でどのくらい通学に時間を費やしているかノートに計算していたことを思い出した。当時私のクラスの席替えでは前からの2列だけは希望制(3列目からはくじ引き)だったので、センターの前から2列目の席にいつも私は彼と隣り合わせに座っていた。休み時間はお互い本を読んだり、お互いの好きなアーティストのアルバムを貸し合って感想を言い合ったり、理想的な友人関係を築いていた。彼は隣で冷静にその時間をはじき出し、限られた時間を有効に使うことで、皆の憧れる有名大学へ進学していった。

果たしてわたしは彼のように待合時間を有効活用することができるだろうか。

 

 

そんな時に、手を差し伸べてくれる存在がレシピ本だ。

「診察を待つ」という大義名分のもとに、布張りのソファに座りながら読みたいだけタダで本が読める。私は決して立ち読みにきたわけじゃない。ただ本を読みながら診察を待っているのだけなのだ。それが見方を変えれば、診察室は一瞬でウォーターサーバーのある雑誌喫茶になってくれる。物は考えようだ。

 

ESSE、クロワッサン、NHK きょうの料理、おかずのクッキング、レシピ関連のたくさんの月刊雑誌があるなかで、必ずと言っていいほど置いてあるのが、オレンジページレタスクラブの二大巨頭だ。わたしは一度気付くと自分のなかで統計をとりたくなるクセがある。題して、オミソ・シルコ調べ。駅前のあのクリニックにはレタスクラブが置いてあったし、あの眼科にはオレンジページが置いてあった。

オミソ・シルコ調べでわかったことは、「両方置いてあるクリニックはほぼ存在していない」ということだった。ESSEレタスクラブは共存できるのに、オレンジページレタスクラブはできないのはなぜか。そこには目に見えない闘争が存在しているのだった。

 

 オレンジページレタスクラブの比較

 オレンジページ

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  • 出版社名:オレンジページ
  • 発行間隔:月2回
  • 発売日:毎月2,17日
  • 1冊定価:[デジタル版]432円
暮らしに「おいしい」と「ワクワク」を。
1985年創刊以来、幅広い女性に支持されている生活情報誌『オレンジページ』。今日の晩ごはんのおかずから、お弁当やスイーツ、季節のごちそう……すべて、編集部で試作を重ねた、失敗なく作れるおいしいレシピをはじめ、家事、収納、健康など暮らしまわりの「いま使える」「いま知りたい」情報をお届けします!
   (引用元:https://www.fujisan.co.jp/product/331/

 

 レタスクラブ

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  • 出版社名:KADOKAWA
  • 発行間隔:月刊
  • 発売日:毎月25日
  • サイズ:A4変
おかず、お弁当、料理のレシピおいしい情報満載!レタスクラブは奥様の強い味方。
料理が苦手で毎日の献立に悩まされている方、忙しくて料理に時間をかけられない方、日々の料理に季節感を出したい方、みなさんの料理の悩みを解決します!スーパーで手に入る材料で簡単なレシピ、綺麗な写真で紹介してくれるから読んでるうちに「美味しそう、自分でも作ってみたい!」と思うこと必至です。プロに習う「おかずのカレンダー」は、毎日献立選びで頭を悩ませている奥様の強い味方。もちろん、生活をたのしくする情報もたくさんゲットできます!!
  

 

まず、オレンジページ、1985年創刊ってめちゃめちゃすごくないか?!??

もうすぐ35周年?そんなに歴史があったなんてすごすぎる。おそらく、祖母の世代から愛されている雑誌なのだろう。レシピ本界の老舗とも呼ぶべきかもしれない。老舗には学ぶべきことは多い。しかも、レタスクラブもなんと1987年創刊だそう。虎屋とたねやみたいなものだろうか。

両方とも付録のおかずカタログが付いていたり、レシピだけでなく、健康・収納・ダイエットと、内容はほぼ被っている。永遠のライバルであり親友?という感じなのだろうか。ただ唯一差異化できるであろうポイントは値段の違いだ。オレンジページが月二回発行されるのに対して、レタスクラブは月一回。年間購読すると、冊数が多い分、オレンジページの方が値段がほぼ倍近くになる(レタスクラブ:年6,960円(税込)、オレンジページ:11,200円(税込))。

 

 

わたしのオレンジページレタスクラブ遍歴

かく言う私は正直、今までオレンジページ派だった。というのも実家で母が読んでいた印象が強いからだ。単純に身内が好んで愛用・愛読しているものは自然と馴染みやすい。それもあって、レタスクラブのことを「食材の名称を頭につけているぱちもんレシピ雑誌」のような認識でいた(ごめんなさい)。だって、cabbageっていうキャベツをモチーフにしたアイコンのPCとか出てきたら怪しくない?(再度レタスクラブさんごめんなさい)

 

しかしある時、家の近くのクリニックに付き添いでいった日を境にレタスクラブ派に寝返ったのだ。急にレタスクラブのまわしものみたいになるのだが、2年くらい前にリニューアルしたらしい。わたしが寝返ったのもこのリニューアルの多分半年後とか1年後とかなので、明らかにその流れに乗っかった読者のうちの一人ということになる。

 

そしてこの編集長インタビュー記事。

ddnavi.com

なんとオレンジページが言及されているではないかっ。(そして見出しの「オレペ」という略し方がめちゃめちゃ気になる…。この法則でいえばレタスクラブは「レタク」になるのだろうか。)

 

■あの『オレペ』を抜いた! 歴史的快挙を達成できたワケ

――そんななか『オレンジページ』の実売部数を抜くという歴史的快挙を成し遂げたわけですが、やっぱり存在は意識していたんでしょうか?

松田:もちろんです!『オレンジページ』ってすごくいい雑誌なんですよ。お料理好きな読者さんをがっちり掴んでいて。だから『レタスクラブ』がどこか“二番煎じ”と思われがちだったというか。それを払拭したいっていう気持ちもあってやってきたので、今回の結果は素直にうれしいですね。

――ちなみに、差別化のためにどんな工夫をしたんですか?

松田:意識して口コミが広がるように仕向けた部分はありますね。長年当たり前のように存在している雑誌って、わざわざ話題にしないんですよ。だからまず、編集メンバーそれぞれにTwitterアカウントを作ってどんどん発信してもらうようにしました。アイコンはたかぎなおこさんに書いてもらって「ポケモンGO」のような、集める楽しみも感じてもらえるようにしたり。もちろん、発信力のある方に連載や特集で参加していただいてます。それから、ちょっとした違和感も大切ですよね。増田俊樹さんの連載は「なぜ『レタスクラブ』で?」っていう疑問が毎月のようにSNSで話題になっているので(笑)。

 

こう見ると、やはりレタスクラブもばりばりにオレンジページを意識していたことがわかる。そして読者の考えが見透かされてしまっている。ぱちもんなんて言ってしまい、本当に申し訳ございませんでした!!!

確かに、わたしがレタスクラブ派に寝返ってすぐの頃、やたらTwitterに「レタスクラブ最高!」的なツイートをしていたのだけれど、誰かしら編集部の方がいいねをしてくれた記憶がある。SNSってすごい。わたくしもSNSと程よく距離のあるいいお付き合いをしていきたいなーと思う今日この頃である。

 

レタスクラブが好きな理由のひとつに、レタスクラブニュース(https://www.lettuceclub.net)という最高なサイトがある。レシピを考えるのが面倒な時は、冷蔵庫にある食材を2〜3種類ぶち込む。するとプロのレシピがごろっごろ出てくるので重宝しまくっている。いま初めて存在に気付いたのだが、なんとオレンジページ改めオレペにもオレンジページnet(https://www.orangepage.net)があるらしい。(オレンジページnetのアイコン?が小さいオレンジになってるの可愛い。)

 

どちらも優秀すぎて、もはやわたしにはどちらが良いのか判断がつかなくなってしまった。ええい!匙を投げよう。

 

結論

オレンジページレタスクラブも最高。」 

おそらく価格的な理由(もしくは院長がどちらかの熱狂的な信者か)でどちらを定期購読するか選んでいるのではないだろうか。ただ、両方とも定期購読している病院は限りなく少ないと思われるので(もはや両方置いてあったら奇跡!)、是非病院に行く際はどの雑誌が置いてあるのかチェックしてみていただきたい。そして、オミソ・シルコのことを思い出すのも思い出さないのも、あなたの自由だ。

 

*闘争はフィクションです。