駄作チョコレートのラストチャンス

 小学生の頃から、お菓子作りには全く興味がなかった。姉は器用に市松模様のアイスボックスクッキーやトリュフ、ブラウニーなど「お菓子作り」と胸を張って言えるようなスイーツをよく作っていたが、一方のわたしはコタツでぬくぬくしながら「よくやるなあ」と思っていた。極度の面倒くさがりである。

 

バターを「溶かす」、生地を「冷やす」、という行程を一つひとつ経るのが、どうもかったるく感じられてしまい、アラサーになった今でもクッキーを焼いたことがない。結構珍しい存在なのではないだろうか。その代わりに、ホットケーキやパウンドケーキみたいに「材料をとにかくボウルに放り込んで、混ぜて、型に流し込み、オーブンにぶち込んだら終わり!」という、シンプルな行程のものならよく作る。あと、ナンとか。これも発酵はほぼなしでフライパンで焼ける、超お手軽レシピに限る。

 

 

それでもたった一度だけ、小学生だったわたしがお菓子作りに挑戦したことがある。

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バレンタインデー。当時、わたしが恋心を抱いていたヒデちゃんに渡すためだ。

 

身の回りの女の子たちのバレンタイン事情は様々で、特に「お母さんの意向」はかなり影響していた。小学生同士のチョコ交換とはいえ、すべての財源をお小遣いから賄うのはかなり無理がある。結果的にお母さんがどれだけ協力的かによって、友チョコにするのか、男の子にもあげるのか、はたまた手作りか、デパートの催事コーナーで良いチョコを買ってくるのか……三者三様なバレンタインデーが繰り広げられていた。

 

チョコレートを貰った男の子側もそうで、お母さん同士の付き合いが深い場合は、自動的にお母さんがお返しを手配する、という構図になっていた。所詮、母親同士の交流じゃん。そういうのを側から見ていたら「親を巻き込むとかめんどくせー。無理無理。」と感じられてしまい、自然とバレンタインからは距離を置いていた。「わたしはそういうの、良いんで。」みたいな雰囲気をなるべく出すようにしていた。

 

 

そんな面倒くさがりなわたしが思い立ってバレンタインに参戦しようと意気込んだのは、それがラストチャンスだと思ったからだ。小学六年生、もういくつ寝ると卒業式。ヒデちゃんを好きになってからはもう丸2年くらい経っていた。元々下の名前で呼び合うほど仲良しでマブダチのような存在だったのに、四年生の時の担任が「異性を下の名前で呼び捨てにするの禁止令」を出してから、なんと呼べばいいか分からなくなって、気軽に話すこともできなくなって、いつの間にか好きになっていた。中学生になってもまだバレンタインデーが来るじゃないか、そう思われるかもしれない。小学三年生の時に新居の完成とともに引っ越し、学区外からバス通学をしていたわたしは、中学校からは最寄りの学校に通うことになっていた。これでもう、お別れなのだ。だから、最後に想いを伝えるべく、苦手なお菓子作りにチャレンジしようと決心した。

 

 

いままでロクにお菓子作りをしたことがない人間にとって、出来ることは「チョコを溶かす」「固める」の二行程しかなかった。姉や母親に相談すればよかったじゃないか。いや、そんなことはできない。「好きな男の子に渡す」という事実はひた隠しにし、あくまでも「友達の女の子に渡す」というスタンスを守り抜きたかった。とにかくわたしは昔から、パーソナルスペースがめちゃくちゃ狭いのだ。誰もプライベートに突っ込んでくれるな。親や兄弟に恋愛相談をするなんて考えられなかった。

 

結果的として、「市販のビスケット2枚で溶かしたチョコを挟む」という、なんの工夫もない駄作が出来上がった。こんなラストチャンスなのに、だ。表面がカラースプレーで装飾されているならまだマシだったが、そんな立派な発想は思い浮かぶはずがないし、そもそもスキルがない。ごまかしを効かせるために、百円ショップで出来るだけ賑やかなラッピングバッグを見つけてきて、なんとか形になった。ふう。

 

 

いざ、ランドセルに忍ばせて学校に駄作チョコレートを持っていく。ヒデちゃんに好意を寄せているというのは周りにもかなりバレバレで、どうやら両想いであることも分かっていた。友達も「わたしがチャンスを作るから!」とかなり協力的だったので計画は万全だった。しかも、本人にも「今日はシルコがヒデちゃんに渡すためのチョコレートを持ってきている」という情報がすでに伝わっていた。やめてよ。

 

 

授業が終わり、本番の放課後がやってきた。ヒデちゃんは、特に用事がないにもかかわらず、わたしからのチョコレート贈呈を待ってくれていた。でも、わたしの方は恥ずかしさがどんどん溢れてきた。どうにも止まらない。止められない。自分が作ってきたチョコレートを好きな人に渡すなんて、それだけで恥ずかしすぎて死にそう。しかも、わたしが作ったのは駄作チョコレートだ。ハート形でもなく、トリュフでもなく、ビスケットにチョコレートを挟んだだけの超駄作。ひねりなし。予選落ち確定。

 

自分のチョコレートが駄作だと思ったら、もう、渡すなんて絶対に考えられない!という気分になってしまった。だから、わたしは、逃げた。とにかく逃げた。放課後には解放された音楽室でかくれんぼをするのが仲の良いメンバーのお決まりだったので、音楽室に逃げ込んだ。そして、ドラムの置いてある防音室で作った駄作チョコレートを食べてしまった。自分で。学校でお菓子を食べるのは禁止だったけど、もしゃもしゃと食べた。ヒデちゃん、ごめん。

 

 

ヒデちゃんは、その時どんな気持ちだったのだろうか。いつの間にか帰ってしまったようだった。「残念そうにしていたかな…」とか無駄に考えを巡らせたりもしたが、そんなこと考える暇があったらもうちょっと気合い入れてチョコレートを作れよ、自分。

 

結局、ヒデちゃんには思いを伝えられぬまま卒業した。「あの時チョコレートを渡していたら」「もっと可愛いチョコレートを作っていたら」、そんなことを考えてももう遅い。中学生になってからもかなり引きずっていて、なかなか好きな人はできなかった。駄作チョコレートが口実でもいい、好きな人にはちゃんと好きって言おう。あと、ヒデちゃん、どうかこのことは記憶の彼方に忘れ去っていて。

 

そうだ 青春18切符で行こう。

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聞いてもいないのに、良いとか悪いとか、それは合ってるとか間違っているとか、勝手にジャッジしてくる人がいる。何を見てそう思うのか、どうしてあなたが判断するのかさっぱり分からない。審判に強い憧れでもあるのだろうか。限られた情報だけで判断することほど危険なことはない。

 

目的地までの行き方は色々あっていいと思う。東京から京都に行こうと考えた時、電車だけを使うとしても方法はいくつかある。まずは在来線で東京駅や品川駅に向かい、京都行きの新幹線に乗り換える方法。これが一番早く着くだろう。でもそれは、速さを重視している人にとってふさわしい方法であって、お金はないけれど時間はたっぷりある大学生にとっては得策とは言えない。

 

人間には身長・体重・財力・趣味嗜好・食べ物の好き嫌い……いろんな違いがあって当然なのだから、生きていくペースだって人それぞれでいいはずだ。新幹線みたいに目的地までの最速ルートを取りたい人、快速列車をうまく活用しながら時間とお金を程よく節約したい人、時間は持て余すほどあるから青春18切符で出来る限り安く済ませたい人。ご飯は食べたい時に食べれば良いし、食べたくないなら食べなくたって良いし、トイレだって好きなタイミングでいけばいい。

 

全員がスピードを重視して新幹線に乗って目的地に向かう必要なんてない。寄り道したって、終電を逃して野宿したって、なんだっていいのだ。浜松で途中下車してさわやかのハンバーグを食べよう。名古屋で降りて味仙のにんにくチャーハンを食べても良い。そうだ、青春18切符で行こう。

弾丸金沢旅 〜流動的なサードプレイス〜

 金沢旅行記の続きを書きました。前半はこちらから。

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* 

 

茶店の窓から射す西日がかなり強くなってきた。日没まであと1時間くらいだろう。

本を読みきったタイミングで店を出る。

 

500円でバスの1日周遊きっぷを買ったけれど、結局まだ1度しか乗っていない。

1回200円だから本当はあと2回は乗りたいところだけど、「1駅分乗るのもなんだかなあ」と思って結局百万石通りのFIRST CABINまで裏道を歩きながら戻る。この日分かったのは、案外金沢はコンパクトにまとまってるということだ。

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宿に預けていたキャリーケースをピックアップし、本日の宿に向かうために金沢駅行きのバスに乗り込む。車内は帰宅時の高校生で混み合っていた。高校生達に紛れてぞろぞろとバスを降り、歩いて宿まで向かった。徒歩3分くらい。

 

1階が居酒屋になっている雑居ビルの3階。エレベーターはないので、階段を登る。荷物の重さ次第では、他の宿をおすすめしたい。

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お洒落な書体でBlue Hourと書かれた脇には青い瓶が並ぶ

わたしは青いものがすきで、服や靴など身の回りのものに青いものを選びがちだ。Blueという文字の並びもなんだか控えめで冷静な感じがして意味もなくすきで、この宿は名前で決めたところが大きい。

 

フロントでチェックインを済ませる。共有スペースが広くすっきりしている。みんなでわいわいというよりも、「個々の好きなように過ごす」ように造られている感じも惹かれたポイントのひとつ。Wi-fiに繋いで作業をするにもぴったり。

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初めは「何故この雑居ビルに?」と思ったけれど、次の景色を見て納得。

なんと、目の前に金沢駅のあの有名な門が見えるじゃありませんか。

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客室。前日のFIRST CABINと比べてしまうと、窮屈さは否めない。でもこれで一泊2,200円なのだから全然あり。今改めて金額を見返して、自分でもびっくりしている。

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ところどころ手作り感が満載で、コストを抑えた部分とそうでない部分が明白だったのが面白かった。ハンガーの部分はもう、重力に負けてしまっているみたい。

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水回りは余計なものがなくて良い感じ。

設備は悪くないけど、お掃除が行き届いていない感じがあったのは少し残念だった。

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この日は一日中歩いて疲れたから、大きなお風呂に入りたい気分だった。調べてみたら金沢駅前のアパホテルに大浴場があるらしい。クーポンを見つけたので、夕飯を済ませたらゆっくりお風呂に浸かって風呂上がりにビールでも飲んでぐっすり寝ようという最高の算段を立てる。3時間で800円、宿代と合わせても3,000円。いいじゃんいいじゃん。かなり出来過ぎた計画だ。夕飯の目星もついたところで、一旦1時間仮眠を取る。押入れの中のような窮屈感がたまらなく最高だ。

 

 

昼寝のあと、軽く身嗜みを整えて、お目当てのおでん屋さん大西茶屋へと向かう。かなり人気なお店らしいので、夕方の開店後にカウンターにサクッと座ってサクッと飲んで、退店したいところではある。すでに座敷はサラリーマンでいっぱいだ。予約席ばかりだったが、かろうじてカウンター席が空いていた。他のお店はリサーチしていなかったので運が良い。サッポロビールが置いてあるお店は結構珍しいので嬉しい。f:id:uminekoblues:20200124175313j:plain
店員のお姉さんに今日のお刺身で一番美味しいものは何かを尋ねていたら、お隣のダンディなおじさんに声をかけられた。話を聞けば、(全国的にみれば)ご近所さんらしいことがわかって意気投合。寝具関係の営業マンだというおじさんには、いままで転勤してきた土地での話を聞いたり、お互いの家族の話をしたりした。県民性の話題になり、私の出身県の特徴を尋ねたら「嫌いな食べ物がパッと出てこない」だと言っていた。なんだそれ。確かに、考えてみたら嫌いな食べ物はあまりないけどさ。

 

遺伝子的にお酒が強い体質でよかった。サッポロの大瓶2本に地酒を6合熱燗で、仲良く飲んだ。普段人に相談をすることはあまりないけれど、旅先で出会った人や居酒屋で隣り合わせた人には気楽になんでも話せてしまうから不思議だ。サードプレイスが大事だとかいつかの記事で言っていたけれど、メンバーが決まりきったコミュニティは退屈で飽きてしまうので、旅先での、この場限りの関係が自分にとってはちょうど良いのかもしれない。

「旅の恥はかき捨て」とはよく言うけれど、潔さがあってすきな言葉だなあと思う。たとえ相手にどう思われようが、どうせ旅の最中の出来事だからどうってことない。人生の長い旅も、そのくらい軽やかに生きていけたら楽なんだろうな。実際はそうもいかないけれど。「父親とは2人で飲みに行けるほどの仲ではない」と話したら、おじさんはおじさんで「娘はお酒に強くないから一緒に飲めない」と言っていて、擬似親子を演じている気分だった。いい意味で、“行きずりの関係”だった。

 

おでん屋を後にし、隣で飲んでいたサラリーマンも道連れに香林坊のカラオケバーに移る。カラオケに来るのは久しぶりだった。たぶん、2年くらい前に高円寺駅前のカラ館に行ったのが最後だ。十八番の『木綿のハンカチチーフ』や、Spotifyのプレイリストからよく聴いている曲を歌った。近くのお姉さんが岡本靖幸を入れていたので嬉しくなって、『だいすき』を歌ったら改めて歌詞の天才さに心臓を撃ち抜かれた。尾崎紀世彦の『また逢う日まで』はかなりウケが良かったのでまた歌おう。近くの飲み屋のママさんらしき人が素敵なハスキーボイスであいみょんを歌っていたのもなんか良かった。そういえば、わたしは最近の曲を全然歌えないな。マスターに経営の話を聞いたのも楽しかった。「金沢に来たら絶対にまた来ます」と固い握手をして店を後にして、すぐお隣にあった老舗のお蕎麦屋さんで締めのざる蕎麦を食べた。金沢駅で、へべれけのダンディおじさんは「またすぐどこかで会うでしょう」と言い、わたしは「そんな気がします。またどこかで会いましょう」と言って、ここでも握手をしてさよならした。

 

あんなに最高な計画を立てたのに、結局、大浴場に行くどころじゃなかった。でも、色んな人に会ってお酒を飲んで歌って楽しい夜だった。どうせ自分の昼寝したシーツだ。メイクだけ落として、そのまま泥のように眠った。

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翌朝、二日酔いで視界がちょっと揺れる。なんだかんだで、やっぱりこのベットはぐっすり寝れた。快適さでいえば圧倒的に1泊目の宿だけれど、熟睡さはこの空間には勝てない。ここに胸高らかに宣言しよう、わたしは純血の庶民である。 

 

 

1軒目の後にお水を一杯飲んでおいたのが効いていて、体調は比較的良好。シャワーを浴びてチェックアウトぎりぎりに荷物を預け、宿を出る。ああ、胃に優しいものが飲みたい。美味しいものに吸い寄せられるように近江町市場に辿り着いた。

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最近で一番良く撮れた気がする一枚

近江町市場の八百屋さんは大根やかぶの種類が豊富な気がする。これだけぎっしり積まれた食材も、夕方にはすっからかんになっているからすごい。以前は気にならなかった気がするが、撮影NGのマークがぶら下がっているお魚屋さんが多かった。 お茶屋さんで、適する温度も淹れ方も全く違う2種類の加賀棒茶を味見させて貰った。美味しい。茎っぽいのが多くて、色が薄い方を買って帰った。語彙力よ。

 

少し場内をふらふらしたあと、「味噌汁、味噌汁が飲みたい。」ともりもり寿しへ。

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金沢に来たら個人的にのどぐろはマストで食べたい。でも“良いお店”に入るほどの予算はない、という時にもりもり寿しはもってこいだ。旅先でチェーン店は邪道かもしれないが、もりもり寿しだけは話が別だ。かなり行列していたけれど15分くらいで入れた。

 

のどぐろ、炙りのどぐろ、白子、がす海老、えんがわ……

本当はカニ汁が食べたかったのに、ケチって海老汁にしてしまったのは後悔している。

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食後の一杯を求め、東出珈琲店へ。ここがこの旅一番の目的地である。

 

カウンターのど真ん中は特等席だった。

棚には瓶に入れられた豆たちが行儀よく並んでおり、一杯ずつ丁寧に段取りよく淹れられたコーヒーがドリッパーからゆっくりと抽出されていくのを眺める。

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後から隣に座ったおじさんに「カメラマンさん?」と声をかけられた。注文を待つ間、おじさんとぽつりぽつり会話をするけれど、昨日のダンディとは違って間の取り方が独特だ。今カメラは趣味でやっているだけだけれど、祖父と伯父が亡くなって撮る人が居亡くなったこともあり、なんとなくわたしの番だと感じているところはある。「血筋みたいなものですかね」と話したら、「ああ、血ってあるよね」と急におじさんのテンションが上がったのを感じた。名古屋から蟹を食べに来たというおじさんは車好きらしく、大量のコレクションを見せてくれた。外車ばかりだったので、たぶん只者ではない。そのせいか、お孫さんも車が大好きなんだそうだ。ひとつ飛んで三代目は祖父母の背中を追いかけるものなのかもしれない。


初めて来たお店では大人しくその店一番のおすすめを食べると決めている。

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東出ブレンドと自家製プリン。カップとソーサーの雰囲気は予想していたのと違い、古風でお上品な感じだ。金の縁が美しい。プリンのカラメルはビターで甘すぎず、甘いものが苦手な人間には丁度いい。プリンは人気であっという間に売り切れてしまうらしいのでワタシは最高ツイている、と思った(これは小林聡美さんの著書のタイトルですが)。後からテーブル席に座った人の順番では売り切れてしまっていた。

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窓のガラスの色と照明がどことなくレトロで可愛い

やっぱり、最高にとてもいいお店だった。金沢でコーヒーが飲みたくなったら是非。

 

今日も今日とて食べてばかりだ。

本をもう一冊持ってくるんだった、と思いながら東茶屋街まで散歩をした。

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裏道を縫うように歩く。メンテナンスと思しき人が消雪パイプ(というらしい)の点検をしていて、至るところで水たまりができていた。

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金箔ソフトとか、あんみつとか、そそられるものばかりある。日が暮れて肌寒くなって来て、お茶屋さんへと自然に足が向かっていた。今度はテイクアウトで、本日二回目の加賀棒茶を頂いた。外のベンチで一服していたら、着物を着た大学生くらいのカップルがやって来て、同じようにテイクアウトのお茶をベンチで飲んでいた。「あーっ!」と突然叫んだので様子を伺ったら。買ったばかりのお茶を丸ごと倒してしまったらしい。残念そうな男の子と隣で笑っている女の子の雰囲気がよくて、写真を撮らせてもらった。

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1.5日の金沢旅ももうすぐおしまいだ。

ほとんどの商店がすっかり仕舞い支度済ませた近江町市場で、唯一まだ灯の付いていた八百屋さんでちぢみほうれん草と芽キャベツを買った。横断歩道を渡ったところにある黒門小路で、北陸唯一の蒸留所で作られているというウイスキーウイスキー漬けの梅をお土産に買った。

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希少価値が高いらしく、クラフトハイボールは一本でも結構なお値段で、手が出せたのがこの辺だった。妥協案、みたいな書き方をしてしまったけれど、これがめちゃくちゃに美味しい。梅酒とウイスキーがお好きな方、全力でおすすめします。むしろ一緒に飲みましょう。

 

三郎丸蒸留所、施設見学もやっていて試飲などもできるらしい。最高じゃん。

次の旅の候補が富山に決まりつつある中で、この旅行記を締めたい。

 

www.wakatsuru.co.jp

 

ワタシは最高にツイている

ワタシは最高にツイている

 

弾丸金沢旅 〜金沢城とハントンライス、懐かしの喫茶店〜

弾丸で金沢に行ってきた。計3度目の訪問。

今回はかなり強気で、滞在日数は1.5日、予算は宿泊費と食費諸々込みでトータル1.5万円。

 

到着は深夜だったため、FIRST CABINで一泊。

ここが本当に最高で、もっとゆっくりしていたかった。

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チェックアウトのタイミングで、500円の1日フリー乗車券を購入し、キャリーケースを預ける。金沢城公園は宿のすぐそばなので、歩いて行ってみることにした。

庭園をひとりで散歩するとは、少し大人になった気分だ。

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雪が積もったらもっと綺麗なんだろうな

金沢城は数あるお城の中でも多種多様な石垣が見られることで有名なのだそうだ。分からないなりにも「これは一つ一つの石のサイズが大きいなあ」とか「おっ、ここはキュッと目が詰まっている感じがするぞ」などと自分なりに解釈しながら石垣を眺める。物事には色んな見方があることを学ぶ。

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せっかくなので、城内を見学。この日は絶好の旅日和で、空が澄み渡っていた。

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金沢城は度々、落雷や火災で焼失しており、平成のうちに新しく復元されたのが、この菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓らしい。チケットに映っている両端の高い部分が物見櫓の役割をしていて、内側から上ってみると、外から見るよりもかなり高くから見渡せることがわかる。遠くの家までちゃんと見えているからすごい。

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この後、三の丸広場のベンチに座って、人々が写真を撮る様子を眺めながらひたすらぼーっとしていた。風が冷たくて体は冷えてきたし、お腹は空いてきた。お昼は何を食べようか。

そういえば、行ってみたいお店があった。石川門から金沢城を出て、バスで香林坊まで向かう。少しくたびれたのでわざと遠回りして、外の景色を眺めながら小休憩。

 

僕が旅に出る理由 

「僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって」とくるりは歌うけれど、わたしにとっての旅に出る理由は大きく分けて三つある。

 

ひとつめは安宿。

ビジネスホテルの慣れない広さが落ち着かず、眠れないことが多いが、ゲストハウスの小さなベッドルームは不思議と安心して熟睡できる。上のグレードに一度慣れてしまうと下げるのはキツいはずなので、心と体が持つうちは一泊3千円前後の安宿探しを楽しみたい。限られた条件のなかで何ができるのかを考えるのが楽しい。今回も「泊まりたい宿」を優先して予定を組んだ。

 

ふたつめは、地域に根ざしたお店を見つけること。

定食屋さんや純喫茶、銭湯や八百屋、パン屋。その土地土地の文化や雰囲気を感じられる気がする。ピカピカの新しいお店もすきだけれど、少し看板が汚れているくらいが丁度いい。

 

みっつめに、路地裏を歩くこと。

近道を探すのも、遠回りをするのも楽しい。裏道に入った途端に、オープンワールドゲームの主人公になってマップを広げていく感覚になる。鮮やかな寒椿の花が民家の庭先に咲いているのを見つけたり、雰囲気の良さげな居酒屋さんに出会ったりする。

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グリルオーツカは裏路地をずんずん進んだところにある。初見殺しである。

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金沢のB級グルメと言えばハントンライス。グリルオーツカは、国道8号沿いにあるキッチンユキと並んで有名なお店だ。ちょうど12時頃で、お昼休みのサラリーマンの姿が多い。

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カウンターの奥の席では、常連さんらしき人が『徹子の部屋』を見ながら定食を食べている。

 他のメニューに目移りしそうになるのをグッとこらえて、ハントンライスを注文。

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ケチャップライスのオムライスの上にまぐろのフライとエビフライが乗り、ケチャップとタルタルソースがかけられている。ぐぬぬ。美味しい……。普通サイズは量が多いとあったので女性向けの小にしたのだけれど、メニューに書いてある「クリームスープ」がどうしても気になる。「さすがにスープまでは食べ過ぎかな」「いや、ハントンライスは小なんだからスープも食べていいよね」という脳内会議を経て、追加注文。注文を取ってくれた店員さんが、小声で「正解。」と言ったのをわたしは聞き逃さなかったぞ。

クリームスープは大正解だった。カロリーオーバーとかランチに1,500円は高いかなとか、そういうのは一旦置いておいて、これを食べない手はない。大げさのように聞こえるかもしれないけれど、いままで食べたスープの中で一番美味しい。

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わたしがスープに夢中になっている間に、いつの間にか常連さんはお会計を済ませて席を立っていた。お昼のピークを過ぎた店内には、オーナーさんがカレンダーにマジックで予定を書き込む音やスタッフが談笑する声が響いていて居心地がよかった。

 

少しでもカロリーを消費するべく、徒歩で石川四高記念博物館や21世紀美術館を巡る。

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21世紀美術館の屋外では、右手にあるヘモグロビンのような椅子に座ったおじさんおばさんグループが、コールアンドレスポンス形式で演歌を歌っていて、微笑ましい気持ちになった。

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西日が強くなって来た。

香林坊に戻り、せせらぎ通り沿いにある懐かしのお店、WEST COASTへと向かう。

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金沢はお洒落な街だなあと思う。わたしの地元では考えられないくらい、雰囲気の良いお店がたくさんある。初めて金沢に来たときは、教習所で同室だった高校生と一緒だった。2週間の同居生活で姉妹のような関係になり、勢いで開催されたプチ卒業旅行だった。このお店が懐かしいのは、同期のメンバーに金沢出身の美大生がおり、この喫茶店で再会したからだ。

(免許合宿の話はここからどうぞ。Googleからの流入が地味に断トツで多いこの記事。)

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ウインナーコーヒーを注文。

コーヒーが手元に届いてから、程なくするとクリームが溶けてマグカップにふわっと広がって、薔薇の花びらのように開く仕組みになっている。芸術だ。

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幾つになってもカラースプレーは嬉しい

店内にはレコードやCDがたくさん置いてあって、オーナーのこだわりが感じられる。

フレディ・ジャクソンの『Nice “N” Slow』やナット・キング・コールの『Fly Me To The Moon』などが流れていた。もちろん、Shazam先輩で調べた。贅沢な時間だなあと思いつつ、フミコ・フミオさんの著書『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』を読むなどして過ごした。

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疲れたので荷物をピックアップして、今晩の宿で夕寝でもしよう。 続きはまた。

 

【参考】

北鉄バス1日フリー乗車券(http://www.hokutetsu.co.jp/tourism-bus/oneday

金沢城公園hp(http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/index.html

 

 

金沢で泊まったFIRST CABINが最高だった話

年末、ひょんなことから弾丸で金沢へ行くことになり、慌てて宿を予約した。

FIRST CABIN 金沢百万石通店(https://first-cabin.jp/hotels/30)。先日、車で梅小路公園の近くを走っていた際に路地裏で見かけて、「あー。これ飛行機みたいなやつか。前にテレビで特集されてたの見たなあ。機会があったら泊まりたいなー。」などと思っていたら、すぐにその機会がやってきた。

 

なんやかんやで着いたのは深夜。暖冬とはいえさすが北陸、冬の寒さは厳しい。

チェックインが深夜4時(28:00)までなのは非常にありがたかった。かなり大きめのビルが丸ごとFIRST CABINになっている。総客室数は175室とかなりの収容数。

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入り口。スタイリッシュでカッコ良さげである。

扉に反射しているけれど、向かいにはファミマがあるので深夜の買い物にも困らない。

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エレベーターで2Fへ上がり、フロントでチェックインする。

現地決済で3,350円の支払い。金沢でも2019年の4月から宿泊税が導入されているので、この中には200円の宿泊税(宿泊料2万円以上の場合は500円)が含まれている。今回はファーストクラスキャビンに泊まりたかったのでこの値段だが、ビジネスクラスのお部屋だったらトータル2,700円弱で泊まれるのでめちゃくちゃに安い。

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カードキーを受け取り、いざ客室へ。

女性専用フロアの6F。客室のクラス毎に区画が分けられており、それぞれの区画の入り口にカードキーをかざすシステム。セキュリティ面もバッチリである。

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表示が機内っぽくていちいちテンションが上がる

簡易宿所となるため鍵はかけられないが、部屋はアコーディオンカーテンで仕切られており、扉の磁力が強いので、だいぶ安心感はある。※この磁力、かなり強いため、開けるときも結構力が要るだけでなく、閉めるときはバチン!と閉まるのでご注意を。

 

特筆すべきなのは足元のスペースの広さ。

2泊分程度の大きさのキャリーケースを置いてもこの余裕。

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ファーストクラスとビジネスクラスの違いは、主に「このスペースがあるかないか」なのだけれど、カプセルタイプのお部屋は着替えに困るというのがネックなため、足元のスペースがゆったりしているのはありがたい。もはやカプセルというより、個室である。

  

そして、気になるベッド。一言で表すと、スタイリッシュ。

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シンプルイズベスト、という言葉が似合う。

テーブルの置いてあるスペースとベッドを含めると、全体が真四角のキューブ状になっている感じ。正直、収納さえあれば、生活スペースはこれで十分な気がしてしまう。

 

ベッド下には銭湯仕様のロッカーが付いているので、荷物はここにしまえる。

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好きで泊まっておきながらも、盗難などは怖いので、移動中・就寝中はキャリーケースの中身はこちらにほぼ収納した。

 

部屋の仕切り側にはテレビが付いており、ベッドに横になりながら見れる素敵仕様。

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背後に見えるのが磁気強めなアコーディオンカーテン

各フロアには、共有のお手洗いと洗面所があり、これがまた綺麗。ゲストハウスの共有バス・トイレは当たり外れが大きいけれど、清潔感ばっちりで文句なし。

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各席にドライヤー、アイロンなど、一通りのアメニティが揃っていて(しかも女優ライト?がある)、かなり至れり尽くせりな環境になっている。

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そして一番の極め付けは大浴場。DAIYOKUJYO!

大浴場のある地下一階へと向かう専用エレベーターに乗り換え、到着すると暖簾を発見。銭湯好きにはこういう雰囲気はたまらなく嬉しい。

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深夜で人がいなかったとはいえ、さすがに浴室内の写真は自粛。ですが、とにかくこの大浴場が素晴らしかった。ビジネスホテルに泊まって部屋の小さなお風呂に入るより、この大浴場があれば寝るスペースだけで充分では……。24時まではサウナにも入ることができる。

 

 

ただ一点だけ、不可思議なことがあった。

わたしが大浴場に着いたとき、脱衣所に洋服の詰まった籠が置いてあった(ブラがはみ出ていた)。わたしは「あー、なんだー。貸切じゃないんだー。」と残念に思いながら、浴室に入ったのだが、そこには誰も居ない。サウナも24時以降は使えなくなっているし、シャワーブースにも特に誰も居ない。大浴場もすっからかんで、その空間にいるのはわたしただ一人。

なんか不気味だな〜と思いながらも、オーガニックっぽい雰囲気の香りの良いシャンプーやボディーソープに満足して、のんびり大浴場に浸かっていた。結局誰も入ってくることもなく、脱衣所に戻っても誰も居ない。荷物は置いたままで、不思議だな〜と思いながら髪を乾かして居たら、急におかっぱの背の低い女性が入ってきて悲鳴をあげそうになった。

よく見たら、その方はチェックインの時に対応してくれたスタッフの女の子で、夜間の清掃の時間だったらしく、せっせとモップがけをしたり、ゴミを集めたりしていた。あれは一体誰の荷物だったんでしょうか……。

 

 

 

大浴場で温まったはずが、若干ヒンヤリした気持ちを味わいながら就寝したのは午前3時。

 ベットのマットレスは固くてかなり寝心地が良かった。アコーディオンカーテンは上部が15cmくらい空いているので、近くの人のいびきや扉の開閉音は若干気になったので耳栓はあっても良いかも…という気はする(女性専用ブースでもいびきは結構ある)。

 

ただ、極め付けはこのお値段でも朝食が食べられるということ。ビュッフェ!というほどのメニューはなかったけれど、コーヒーと数種類のパン、スープ(この日はミネストローネだった)が並んでいて、朝ごはんにはこのくらいで充分かな、というメニュー。

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カップがちゃんと温められていたのは感動

朝ごはんを食べるスペースはお洒落な本屋さんの様なディスプレイになっていた。

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クロワッサンを焦がす

この日は一日金沢をぐるっと回る予定だったので、フロントに荷物を預けて10時に出発。旅の記録については後日更新します。

 

この値段でこのクオリティ、なにより大浴場が気に入ってしまい、来月の遠征予定もFIRST CABINを予約してしまった。都内にも10店舗あるので、終電逃した際などかなりおすすめの宿です。

 (追記)うっかり立地に触れるのを忘れてしまったので補足。近江町市場と香林坊(繁華街)のちょうど中間に位置していて、金沢城なんかも歩いてすぐに行けちゃいます!

 

【参考】

金沢市宿泊hp:

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/13060/syukuhaku/syukuhakutop.html

舞鶴、伯父が働いていた街。

舞鶴。京都の北の端にある、日本海に面した海の街。

直接的な関わりはないが、関東で生まれ育ったわたしにも所縁のある街だ。

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わたしの伯父は、およそ4年前に突然死んだ。

仕事帰りに母親から滅多にこないEメールが入っていたので開封したら、そこには伯父が亡くなったこと、通夜と告別式の時間などが淡々と記されていた。

 

故人の話をすることには賛否両論ある。以前は有名人の訃報に反応してお悔やみを述べる人の気持ちがわからなかったが、いつからか、お悔みを述べることも弔いの一種だと思うようになった。だって、亡くなってしまったら誰がその人の話をするのだろう。芸能人や著名人、織田信長徳川家康などの戦国武将は多くの人の話題にこれからものぼるだろう。それでも、毎日粛々と生きてきた庶民には友人や親族以外に思い出を語る人がいない。そこに確かにその人の人生があったことが、いつの間にか過ぎ去っては消えていく。

 

伯父の話を語る人間はもうかなり数少ない。大伯母も祖父もそうだ。外人のボーイフレンドが居て女優にもスカウトされたが、両親や兄の息子の面倒を見るために働き詰めで未婚を貫き、わたしたち家族との同居も断り、生前献体を申し込んでいた大伯母。姉とわたしにピアノを買ってくれたのは大伯母だ。小学生の時に亡くなった祖父はカメラマンだった。部屋が傾くほどに大量に保存されていたアルバムは、限られたものを遺して知らずのうちに処分されていた。祖父の撮った写真が地元の小学校や寺院に飾られていることは、わたしの誇りだ。ふたりの共通点である「自分の利益よりも人のことを優先する生き方」は自分の指針でもある。

 

伯父の死を、必要以上に美化するつもりはないが、遺したものが年老いた祖母と幾らかの借金、段ボールいっぱいに詰まったAVなのはあまりにも報われない。人の記憶から忘れ去られた時、その人にとって「本当の死」が訪れるという。でも、まだ伯父には記憶の中では死んでほしくない。だから、伯父が生きていた証をわたしが残すことにした。

 

家族写真と一通の茶封筒

突然の訃報のあと、初めて伯父の生活していた部屋に入った。生涯独身だった伯父は、祖父が死んでしまってからは二階建ての小さな借家に祖母と二人暮らしだった。部屋の片隅には、わたしと姉がまだ小さい頃に祖父母や大伯母、伯父、両親と私たち姉妹で行くのが恒例だった焼肉屋の前で撮影した記念写真が画鋲で無造作に貼られていた。わたしたち姉妹の手には、お子様ランチのおまけなのだろう、シャボン玉が握られている。

 

祖母と伯父の住む家は実家からほど近くにあり、月に一度、市場へ魚を買いに行くと、帰り道にお刺身を届けに行くのが恒例だった。伯父はいつも、夏は白のタンクトップ姿、冬は青いチェックの半纏を羽織って、奥の離れから「いらっしゃい」と笑顔で出てきた。毎週末、だいたい笑点のやっている頃には必ず伯父が家に来て、記事のスクラップを日課としていた父に渡すための新聞や、スーパーで買って来てくれた旬の果物を届けてくれた。臨時収入があったのだろうか、一年に数回は、ごっそりと箱いっぱいに詰まった色とりどりのケーキを届けてくれることもあった。わたしと姉は、まるで娘のように可愛がって貰った。勤め先の就業規則では、忌引休暇は2親等までだと定められており、伯父の葬儀のためには有給を取るしかなかったのがもどかしかった。

 

 

伯父はかつて海上自衛隊の隊員で、最後に赴任していたのが舞鶴駐屯地だった。

でもわたしは、海軍だった頃の伯父のことを知らない。パソコンデスクの上に置いてあったガラスのフレームの中の写真には、大きな護衛船を背に制服姿で爽やかに佇む若かりし伯父の姿が映っていた。いま伯父が海上自衛隊だった痕跡を感じられるのは、この写真と、遺影の隣に置いてある海軍の白い帽子だけだ。わたしが物心つく頃には、伯父はとっくに自衛隊を辞めており、IT関連の会社に勤めては、頻繁に転職を繰り返していた。会社に改善点をまとめて提出しては揉めていたらしく、組織の中では厄介な人間扱いされていたのだろう。祖母から伯父が転職した話を聞く度に、母は決まって「だからおじちゃんは自衛隊に居ればよかったのに」と言うのだった。伯父は、海上自衛隊を辞めた理由を「船酔いをするようになっちゃったんだ」と笑って話していた。

  

 住人が祖母だけになった借家は解約され、祖母は実家に住まうことになった。人手が足りないので、わたしも週末に度々帰省しては遺品整理を手伝った。小さな借家のなかには、伯父の遺品に加えて、10年以上も前に亡くなった祖父、伯父が最後の世話をしていた大伯母の遺品も残っており、骨の折れる作業が続いた。伯父の部屋の本棚には専門書が並び、物置にもたくさんの参考書やノートがあり、勉強熱心だったことが伺えた。

 

 

 伯父の部屋をいよいよ空っぽにするぞと意気込んだ日、押入れの中から特に大事にしていたであろうものたち、証明写真や書類、手紙や日記の端切れなどが出てきた。

 

おもわず身震いしてしまったことは、ルーズリーフに殴り書きされた日記に「交通事故には気をつけること!」と大きく書いてあったことだった。伯父は交通事故で亡くなったのだ。かなり大規模な事故だったために、マスコミが取材を申し込んできたり、ネット上にはスレッドが立てられ、当人の名前も顔も知らない、全く関係のない人間たちが好き勝手に書き込みをして盛り上がっていた。「腸が煮えくり返る」とはこういうことを言うのかと思った。下手に身内だと名乗ることもできずに、反論も出来ないのが余計に腹立たしかった。テレビやネットで流れてくる災害や事件・事故のニュースは他人事のように思えてしまうけれど、いつ自分や家族が当事者になってもおかしくないことを教えてもらった。不幸中の幸いか、体に大きな損傷はなかったが、顔にできた内出血を隠すために、わたしの成人式の化粧よりもはるかに厚塗りになっていた伯父は妙に小綺麗で、半纏やタンクトップを着て現れた頃の面影が減っていたのが悲しかった。

 

 

なかには茶封筒もあった。祖父の遺品整理のときに見つけて、取っておいたのかもしれない。それは伯父が自分の父親(祖父)にあてた手紙で、手術をしたこと、それがきっかけで海軍を辞することになったこと、母親(祖母)のことが気がかりで地元に帰る決意をしたことなどが書いてあった。隣で作業をしていた母に手紙を渡すと、「そんなの聞いてない」と涙ぐみながら小さく怒っていた。伯父が海軍を辞めたのには、船酔いよりももっと抜き差しならない理由があったのだ。県内でも一番優秀な高校に進学し、海軍に入隊して順調にキャリアを築き上げた伯父は、ある時期まではまさに順風満帆な人生だったはずだ。自分の意思に反して、それが一瞬で壊れていく可能性はおおいにあるのだと思う。

 

両親は葬式の費用が賄えるか心配していたけれど、伯父の葬儀には思っていたよりも多くの人が参列していた。近々開催する同窓会のために、幹事として数週間前に打ち合わせをしていたのも大きかったのかもしれない。高校時代、頭が良く、スリムで美形だった伯父にはかなりのファンがいたらしく、当時のファンだったという謎の女の人の姿もあり、母は怪訝そうな顔をしていた。訃報の連絡から終始冷静で、淡々と手続きを進めていた母が、喪主の挨拶になった途端に言葉を詰まらせて泣き崩れてしまったこと、親族席の先頭で車海老のように肩を丸めて座る祖母の後ろ姿は、これから何年経っても忘れられないし、忘れてはいけない光景だと思う。

 

伯父の痕跡を模索する旅

 舞鶴を訪れるのはこれで二度目になる。一度目は、夕方に思い立ってドライブに来た。日が沈んだあとで、街並みを自分の目に収めることができなかった。舞鶴港に停泊中の日本海フェリーを眺め、お寿司が食べたくなったけれど時間的に地元の寿司屋がことごとく開いていなかったので、スシローで回る寿司を食べて銭湯に寄って帰った。

 

今回は、昼に福井県の小浜港で海鮮丼を食べ、16時頃に舞鶴に着いた。

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海軍基地と舞鶴市役所の間に位置する舞鶴赤れんがパークに行く。1号棟から5号棟はそれぞれ、イベントホールや博物館になっていたり、記念館やお土産ショップとして活用されていた。1枚目の写真は、3号棟のまいづる智恵蔵のなかにあった国鉄舞鶴線ジオラマだ。棟の脇には石碑が建っていて、旧海軍が当時その倉庫をどのような用途に使っていたのかがわかる。17時を前にして舞鶴港に沿いに出てみたら、ちょうど奥の護衛船に明かりが灯ったのが見えた。右手の目前に停泊していた艦船の甲板には数名の隊員が立ち並び、舞鶴港にはラッパの音が響き渡っていた。

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 商店街のアーケードと喫茶店、寿司屋、銭湯

舞鶴港から西に15分ほど車を走らせると西舞鶴に着く。そこには、西舞鶴駅から北西に伸びるマナイ商店街がある。伯父が隊員の時、この辺りでも遊んだのだろうか。寂れてしまったアーケードの中でぽつんと光る看板に吸い寄せられるようにして、喫茶モナミに入った。

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メルヘンな外観

夫と変わりばんこで運転していたとはいえ、かなり疲労が溜まってきていた。

いつもコーヒーはブラックで飲むと決めているが、この日は疲労のせいか珍しく体が甘さを欲していて、ミルクもお砂糖も入れたほんのり甘いコーヒーを飲んだ。コーヒーカップとソーサーがシンプルなのがまた良い。

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店主に「店内の写真をお撮りしても良いですか?」と尋ねたら、聞きなれない関東弁のトーンに戸惑われたのか、何度か聞き返されたのちに、ほころんだ顔で「こんなところで良ければ……」と言ってくださった。主張が激しくなく、ひっそりと佇んでいるこのお店の雰囲気が滲み出ている気がした。

 

木目の整った壁紙にシックなブラウンのソファ、落ち着いた雰囲気の中にも鮮やかな色や花が溢れていて胸が踊る。

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カーテンとハンカチの柄が似ていたのが嬉しくて写真を撮った

 糖分を摂取して気力が回復したので、商店街をぐるりと回り、街のお寿司屋さんに着く。前回来た時はちょうど閉店してしまったタイミングだったのでリベンジである。

「2人分の寿司飯しか残ってないけど、いい?」ということだったので、できる分だけぴったりに作って頂いた。有線からは、寿司屋には似つかわしくないクリスマスソングが流れている。仕事帰りのお客さんが持ち帰り用の寿司を買って帰ったり、店の前を通るサラリーマンが店主に会釈して去っていったり、「街とともにあるお寿司屋さん」という感じがした。普段行く回転寿司では、たまごはあまり食べないネタだけれど、お寿司屋さんのたまごは大ぶりで甘じょっぱくて、特別に美味しかった。

 

長年この土地で寿司屋を営んでいるという店主は、海軍の隊員にも定期的にお寿司の作り方を教えているということで、お店の片隅には賞状も飾られていた。改めて、海上自衛隊と密接に関わりのある街だと認識できた。

 

 

舞鶴旅の最後に一日の疲れを癒すため、若の湯に寄った。

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若の湯は明治時代に建てられたそうで、一般的な銭湯の外観のイメージとは一味違った装飾が見られる。決して広くはなく、脱衣所も浴室も、10人も入ればかなりの混雑になってしまうほどだ。お湯は少しぬるめのものとかなり熱いもののふたつで、熱いお湯が苦手なわたしはぬるい方にしか入れないのだが、数ある銭湯のなかでも1、2位を争うくらいにこのお湯が好きだ。

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この日も高齢者から小さなお子さんまで幅広い世代のお客さんが入れ替わり立ち替わり入っていった。ちょうど昨日(1/11)からリニューアル工事のためしばらくお店を閉めることが張り紙に書かれており、ギリギリ滑り込めたのはとてもラッキーだった。5月にはリニューアルオープンする予定だそうなので、また入りにいきたい。しかも、hpを確認したら、なんと昨年(2019年)から舞鶴市ふるさと納税として「銭湯応援!若の湯セット(¥10,000)」というものが出ているらしい。来年度の候補にしよう。


 

結局のところ、街を訪れるきっかけはどんな理由だって良いのだよなと思う。どんなきっかけでも良いから、いろんな街を自分の足で歩いてみたい。伯父がこの地で働いていなかったら、きっと何度も舞鶴を訪れることはなかったと思う。この記事が、誰かの舞鶴に足を運ぶきっかけになったら、伯父の冥土の土産になるかもしれない。

 

 

【参考】

舞鶴赤れんがパーク:https://akarenga-park.com

・マナイ商店街:http://www.dance.ne.jp/~manai/index.html

・若の湯:https://kokintnb.wixsite.com/wakanoyu

シルコ旅行記 〜オリーブと醤の島 小豆島編〜

 初秋の高松&瀬戸内旅行の記事を書いたものの、気づけば更新したのが40日前…… 忙しさにかまけてサボっているうちに季節が変わってしまったけど、最後まで書くぞ。半分意地ですが、「小豆島気になってた!行ってみたい!」という方や、次の旅行先を検討中の方の参考になれば幸いです。

 

過去記事(1日目&2日目)はこちらからどうぞ。

misoshiruko.hatenablog.com

misoshiruko.hatenablog.com

本来は、

  • 1日目:高松 うどん&仏生山温泉
  • 2日目:直島 ノープラン
  • 3日目:豊島 島キッチン→小豆島 エンジェルロード...etc

というプランでしたが、後半にかけて天気が崩れる予定だったため、1日目の仏生山にて、3日目の予定を立て直すことに。直島⇆豊島、豊島⇆小豆島の船が止まる可能性もあったため、思い切って3日目は小豆島オンリーへと変更しました。

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旅の計画中っぽい一枚(仏生山温泉にて)

高松からオリーブの島・小豆島へ

3日目の朝。朝早くからやっていた宿近くのカフェでトーストとホットコーヒーを頂き、一旦高松港へ戻るべく、宮浦港から高松行きのフェリーへ。

さよなら直島、またね赤かぼちゃ。

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あいにくの曇り空

高松港に着き、小豆島行きのフェリーの時間まで1時間弱の空き時間があったので、四国ショップ88にて各々お土産購入タイム。ちなみに、港から徒歩で5分くらいのマリタイムプラザ高松というビルに入っています。四国のお土産はほぼ網羅してるんじゃないか?ってくらいの品揃えで、四国だけでなく小豆島のお土産もフライングゲットできちゃう。控えめに言って最高。職場(ぶっちゃけどうでもいい相手)向きのお土産も選択肢がかなり多いので、ここで買ってしまえばお土産問題はすんなり解決します!すでに前日に地元のスーパーでもご当地品(出汁など)をゲットしていたので、香川のうどん醤油や小豆島産のお米で作った日本酒などを購入。

 

これから向かう小豆島はオリーブが名産のため、店内の隅っこに置いてあったご当地ドリンク自販機の「オリーブ茶」をせっかくなので移動用として買ってみました。コラーゲンとポリフェノールが豊富なんですって。一口味見してみたら、

ヤマヒサ オリーブ茶 280mlペットボトル×24本入

にっっっっっっっっっっが。うん、健康に良さそうなお味。このあと350mlを飲みきるまでに苦しむのであった……良薬は口に苦し!

 

待合所でチケットを購入して、いざ小豆島行きのフェリーへ(片道:700円)。

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高松⇆直島間をつなぐフェリーと違い、船内は結構レトロな雰囲気。ソファの布張りからですら時代を感じられて、すごくいい。奥の売店にはおばちゃんが立っていて、あったかいものも食べられます。乗船率は低めだったため、L字型のソファに座ってバスの時間などを確認しつつまったり。ただの妄想なんですが、逃走しながら旅しているサスペンスドラマの犯人みたいな気分になりました。伝わりますでしょうか?

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ヨットがたくさん見える もうすぐ小豆島だー

小豆島の池田港に到着。その前に寄ったのが直島港や高松港だったせいか、かなりコンパクトな印象を受けました。フェリー発着所のすぐ目の前にある案内所で「小豆島フリー乗車券」を購入(¥1,000)。一枚で一日小豆島内のバスが乗り放題なのが嬉しい。

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小豆島は直島や豊島とは比べものにならないくらい広く、車orバス移動が必須と言ってもいいと思います。最初レンタサイクルを考えていた浅はかな自分を恥じたい。旅直前になって「小豆島思ってたよりも大きい!フェリー乗り場までの交通手段ない!レンタカー予約してない!どうする??徒歩?!??8時間???!?」的なノリで合流しつつ、落ち着いて考えてみたら、半日はバスが一番コスパが高いことがわかりました。路線にもよりますが、坂手線(土庄港〜坂手港行き)は約30分に1本のペースで来るため、計画的に使えば、1日でも3スポットくらいは回れそう。なお、この日は瀬戸内旅最終日で、坂手港から神戸行きフェリーに乗る予定です。

 

池田港の敷地内にある産直市場を物色しつつ、バス停へ。港に到着したのが12時すぎ。腹が……減った。

 

お昼ご飯を目指して、オリーブ公園へ。この旅、2泊分(友人に至ってはさらに多い)の荷物があったのでスーツケースだったのですが、小豆島では荷物と共に移動しなきゃならないことを全く念頭に入れていなかった。オリーブ公園は斜面にあるため、上り登りがネックでしたが、バスがサン・オリーブの前まで上がってくれたのが救い。

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「サン・オリーブ」バス停からの景色 グリーンのポストが可愛い

(オリーブ畑はあとで堪能するとして)まずはランチ。オリーブ公園内にあるカフェオリヴァスにてチリンドロンライスなるものを食します。ワンプレートで¥1,320円なのでちょいお高め…ですが、こういう洒落た飯は普段あまり戴かないので、たまにはいいかなー。チリンドロンライスは鶏肉と野菜をトマトソースで煮込んだスペインの郷土料理だそうです。「洒落乙ランチは量が少ない」という固定概念がありましたが、かなり満足でした。特に、右側に乗ってるポテサラみたいなのがすごく美味!友人が食べていたガスパチョスープも美味しかったなあ。朝トースト一枚で腹ぺこだったので、時間が許せば追加オーダーしたかったくらい。

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腹の虫も収まったところで、オリーブの写真を撮ったり、実写版の『魔女の宅急便』のロケに使われたという雑貨屋さんに寄ってハーブティーや雑貨を物色したり。スーツケースをゴロゴロと引きながらアラサー2人が坂を上り下りする様子は滑稽だったに違いない。瀬戸内旅、バックパックの方が雨や坂などを気にしなくていいかもしれません。

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でもオリーブは綺麗

オリーブを前面に押し出しているだけあって、オリーブ公園だけでなく、小豆島の至る所でオリーブが見られます。港付近では街路樹代わり?に植えられていたり、バスから外を眺めている間、田舎の景色でいえば柿の木くらいの頻度でオリーブオリーブオリーブ…… 小豆島に来るまでは、小豆島=猫島だと勝手に思い込んでいたんですが、猫には一匹も遭遇しませんでした。あれ?

 

バスの時間まで40分くらいは余裕があったので、海の方に下がり、これまたお洒落なカフェToday is The Dayにてレモンソーダを頂きます。モヒートみたいにミントが入ってるのが嬉しかったー。秋なのに暑すぎてバリバリ半袖ワンピースだし、さらにはスーツケースを引いて坂を移動して体力を消耗していたので炭酸が染みる。かつては海の家だったということもあり、すぐ目の前が瀬戸内海なのが素敵。テラス席からずっとこの穏やかな海を眺めていたい。

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この日は当初雨予報だったので、朝一はレインブーツを履いていたのですが、海に入るためにバス停でビーサンに履き替えていました。朝の自分、Good job!雨はおろか、小豆島に近づくにつれてみるみるうちに天気が良くなっていき、海に着く頃には日差しすらまぶしくなっているではないか。秋を意識したテラコッタのネイルも映えます。季節感ごちゃごちゃだけど、心持ちが大事。

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紅葉と桜と海はどうしても足元を撮りがち

おそらく今年最初で最後の海水浴になりました。足湯的な感じですが。どうでもいいけど、私は淡水派なので、湖とか川が好きです。知らんがな。海ってなんか怖いんですよねー。

 

小豆島の醤(ひしお)の郷

淡水トークはどうでも良くて、坂手港方面へ少しずつ駒を進めていきます。

『オリーブ公園口』から約15分バスに揺られ、『丸金前』バス停で下車。

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バスを降りると、そこは醤油の香りでいっぱいだった。マルキン醤油でございます。

あたり一帯が醤油の製造所になっているため、どこを歩いても醤油の香りがぷんぷん漂ってきます。マルキン記念館なるものがあり、創設時のレシピが飾られていたり、醤油を造るための大きな樽が置いてあったりと、その名の通りマルキンと醤油の歴史が学べる施設です。醤の郷の暖簾をバックに小さな樽から顔を出せたり、門のように置かれている大樽をくぐれたり、写真が撮れる映えスポット?などもちょいちょいあります。(自称顔はめパネラーなので本気で挑みましたがここは割愛。)

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工場見学といえば、わたしの地元は納豆が有名で、小学生の時に探険バックを持って納豆工場見学に行くのがお決まりなんですが、豆を蒸す香りが思い起こされて懐かしい気持ちに。まだ発酵してないから全然臭くないはずなのに、クラスメイトが「くっせー!」と騒いでる中でひとり、口には出せなかったけど(なんか落ち着く良い香りだなあ……)と思っていたのを思い出した。この辺一帯に漂っていた香りは、その時に嗅いだものよりも深みがあって濃厚な感じがしました。芳醇な大人な香りというのか。

 

小麦と塩、温暖な気候と醤油造りに最適な条件が揃っていたことで、小豆島では醤油造りが発展していったそうです。小豆島内にはマルキン醤油以外にも醤油蔵や佃煮工場があり、総称して「醤の郷」と呼ばれているんだそう。エリアが違ったので今回は行けませんでしたが、ヤマロク醤油ではもろみ蔵見学ができるらしいので、今度はレンタカーを借りて是非行きたい。

yama-roku.net

 記念館を鑑賞しつつも、売店コーナーの閉店時間(16時)が気になってしまい、そそくさと記念館を退散し、閉店10分前にギリギリ入店。前日の夜、直島の居酒屋さんで出してもらったもろきゅうが美味しかったので、どうしてももろみをゲットしたかった。それに加え、お目当てだった醤油ソフトでブレイクタイム。これがまたたまらん美味しさなのです。「塩キャラメル」みたいな甘じょっぱさと、一口食べる毎に醤油の風味が口の中に残る感じがなんとも言えない美味しさ。これ、市販で買えたらいいのになあ。おそらくコーヒー味のアイスが好きな人は確実にハマるやつです!

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丸金での滞在時間は1時間とコンパクトに。西日の射すバス停の向かい側に木のベンチがあったので、オリーブ公園で友人が買ってくれたオリーブチョコを二人でぱくぱく食べながら座ってバスを待ちます。オリーブチョコ、チョコレートなのに不思議とさっぱりしていて美味。友人は1日の食事を全てカロリー計算するほど(しかも旅行なのに体重計持参)体調管理にストイックなのに「こんなに食べていいの?」と私が心配してしまうほど気に入って食べていたのがおかしかった。それくらい美味しいのでこちらもオススメです。オリーブ茶の最後の一口を飲んで苦い顔をした私を見て友人が笑い、つられるように二人で爆笑したのはなんか優しい時間だった。時々センチメンタルになる。

 

バスに乗り、5分くらいで坂手港に到着。待合所でフェリーのチケットを購入します(土日祝料金で2,490円)。

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バスに乗っている時、小学生の女の子が乗っていたのだけれど、いずれその子が大きくなったらこの港から神戸の街に出て行くんだろうなーなどと勝手に妄想してしまった。島で育つってどんな感じなんだろう。高速バスで地元から東京に行くよりも、船で地元を出ていくのってより心にくるものがありそう。と夕日を見たらしんみりしてしまった。

 

フェリーまであと1時間。夕方から空いているまめまめビール気まぐれ屋台で贅沢にビールを頂きながら時間を潰します。まめまめビール、小豆島の地ビールだそうで、最後まで地元のものを堪能することができてよかった。友人は赤ビール、私は黒ビールを頂きました。ピクルスやパスタを揚げたおつまみもあって充実。1時間もあっという間でした。

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www.mamemamebeer-shodoshima.com

 

3日間の高松・瀬戸内旅も終盤。神戸・三ノ宮行きのジャンボフェリーで本州へ。

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ジャンボフェリーと言うだけあって、この旅の中で乗ったフェリーとは規模が違いました。大きなフェリーに乗るのは、北海道から乗った新日本海フェリーが最後のため、実に3年ぶり。乗船率はかなり高く、シートの上でごろ寝するおじさんや、ボックス席で談笑する大学生など客層は様々。序盤は友人とよゐこYoutubeを一緒に鑑賞しつつ、後半はガチ寝して神戸へと到着。連絡バスを使えば三ノ宮駅までたった210円で行けるので(所要時間10分)、アクセスの良さに驚きました。明石海峡大橋あたりから、船がぐわんぐわん揺れたので、3日間くらい地面が揺れてる感じがずっと続いていた。

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高松&瀬戸内旅行まとめ

  • 三日間でもぎゅっと濃縮した旅行ができる。
  • 高松のうどん屋閉店時間が早い。朝うどんは高松駅周辺がおすすめ。
  • 瀬戸内国際芸術祭期間内外、土日祝でフェリーの時刻や料金が変わるので注意。
  • 瀬戸内の島々はそれぞれ特色があって面白いので、一島1日(できれば2日)かけて回るとより濃厚な旅ができそう。
  • 小豆島は車の方が回りやすい。バスは半日だとコスパが良い。レンタサイクルは無謀。徒歩は論外。
  • 1日が濃厚すぎてブログが長くなる! 

 

以上、オミソ・シルコのシルコ旅行記でした〜!次回は飛行機でどこか行きたいな。

(長文なのに最後までお読みくださって本当にありがとうございます!)