平成ジャンプとアナログジャンプ

決まりましたね新元号。令和。REIWA。

元号が変わるくらいでそんなに騒がなくても…と令酷な態度をとっていた私ですが、国民が必死に号外を血眼で奪い合う姿を見ていたら、あぁでも自分が生きているうちにあと経験するとしても1回とかそのくらいなのかぁ。という想いが湧き上がってきて、とてもプレシャスな感じがしてきたよね。

 

 

私は平成生まれの人間なので、正直昭和から平成への移り変わり事情はよく分からない。今回は異例の生前退位になったわけで、それまでは国民が天皇崩御にあたり喪に服す暗い雰囲気だったと言うから、平成の天皇陛下・皇后様は本当に素晴らしい。クソコラや年号大喜利、そして号外のメルカリへの大量出品、きっと生前退位でなければこんなことバチがあたってしまう(とはいえメルカリ出品はどうかと思いますが)。

 

 

話はちょっと変わるけれど、アナログ放送が終了しデジタル放送へ移行するとき、わたしは大学生の真っ只中だった。大学生にとって一度しか味わえない経験は大好物中の大好物である。ワールドカップやオリンピック、渋谷に集合してとりあえずお酒を飲めばいいと思っている。いまでは元号が変わるというビッグイベントにも冷ややかな視線を送っている自分も、かつてはそのうちの一人だった。キラキラしてるものサイコー。色合いがごちゃごちゃすぎてよく分からん古着サイコー。とりあえずお酒サイコー!わっしょい!という時期も一応(ごくわずかではあったけれど)あったのだ。

 

 

そして、アナログ放送が終了するその一度しか味わえない節目のため、高校時代の仲良しメンバー(6/7が東京進出していた)でわざわざ集合し、代々木公園でしこたまお酒を飲み、当時向ヶ丘遊園にあった友人宅(ロフト付き約7畳)へ上がり込み、皆で川の字になって雑魚寝をした。川の字というか字の如く川川。寝返りを打つ余裕などない。

 

 

終了のタイミングは翌日の昼間だったような気がする。やっとこの瞬間がくる!私たちはこの名目の元に集まってきたのだ。寝返りも打てない掛け布団もない状態で一晩を明かし、やっとこの瞬間に立ち会える。みんなで固唾を吞んでテレビを見守った。カウントダウンしながら、終了のタイミングで画面が砂嵐になることを全員が期待していた。

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3、2、1。ジャンプ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

画面が切り替わる。砂嵐!!!

…………………………じゃない。あれ……?

 

 

青い案内表示だった。アナログからデジタルに移行するにあたって、問い合わせ用の電話番号などが書いてある。いま調べてみたら、砂嵐になるまでに数時間のタイムラグがあったらしい。砂嵐を期待していた私たちは中途半端な結果に拍子抜けし、「まじかよ。」という絶妙な気持ちになった。まあ楽しかったしおっけー!という感じで、そのままみんなで牛丼でも食べに行ったような気がする。

 

 

たぶん、今私たちが絶賛大学生だったとしたら、平成から令和になる瞬間だとかこつけて集まっているのだと思う。私たちが高校に入学した年に初任だった担任も、ようやく昨年度で他校へ赴任することになった。仲良しメンバーもそれぞれ、転職したり、役職が付いたり、筋トレが趣味になったと思ったらボディビルの大会に出だしたとか、みんな色々だ。時が経ったいまでも、元旦は地元に帰省しているメンバーで、駅前で唯一元旦から空いているチェーン店の居酒屋でベロベロになるまで飲む。社会人になりたての頃は、正月のために下ろした2万円を綺麗に使い切っていた。

 

 

みんなこれから結婚したり、転勤したり、どんどん元旦に集まれる人数も減っていって、なかなか集まれなくなってしまうんだろうなとしんみりしてしまうけれど(現にわたしは西日本に引っ越したので元旦は参加が難しくなってしまった)、あの時みんなでジャンプしたことをきっとまた思い出すよ。